2014/04/13 (Sun) 23:04
以前の記事でChromium OSのビルド手順について書きましたが、あの手順に従ってビルドした場合、使用されるソースはその時点での最新の開発版ソースになります。
Chromium OSのリリースにはDev Channel(開発中バージョン), Beta Channel(ベータバージョン), Stable Channel(安定版:Chromebookで実際に動いているもの)という3つのチャンネルがあるのですが、あの手順でチェックアウトされるのはDev Channelのものよりもさらに新しい本当に最新のものです。
開発中なので評価が十分に行われたものではなく、リビジョンもガンガン上がっていくようです。前回ビルド環境の記事を書いた時のリビジョンはR35でしたが今日の時点ではR36になっていました。今日時点でのDev ChannelのリビジョンはChrome Releaseの記事によればまだR35のはずです。
で、Google側のリポジトリのリビジョンが上がったあとにこっちでrepo syncしてビルドするとエラーになってビルドできない、という問題が起きました。setup_boardスクリプトを起動して再度ビルドをかけたらエラーはなくなったようですが、自分で入れた修正はいつの間にか消えていました。
スナップショットを使って簡単に復旧できたのでこのあたりのことはまだよく調べていません。単にどこかでオペミスがあっただけかもしれません。
こちらはChromium OSの開発に参加しているわけではなく(そんなスキルないです)、単に自分で使いたいからビルドしているだけなので、あまり頻繁にリビジョンが上がってそのたびにビルドできなくなるようなトラブルが起きるとついていけなくなってしまいます。それに、どうせ使うなら十分に評価されている安定版のソースコードを使ってビルドしたほうがいいかな、と思うわけです。
あと、安定版ソースを使うと、品質面だけでなく後でFlashやPDFなどのプラグインを仕込む際にも成功する確率が高くなるだろうと予想しています。
というのも、いろいろなサイトでプラグインの組み込み方法の記事を見てみると、これらのプラグインをChromium OSに仕込む際はGoogleのサイトからダウンロードできるChromeブラウザからプラグインを抜き出して仕込む、という方法になるようです。安定版ソースは今出回っているChromeブラウザとバージョンが一致しているので、この辺でも失敗しにくいだろうと予想しています。
ということで、今回は今時点のStable Channelと同じバージョンのソースコードを使ってChromium OSをビルドしてみます。
今回の記事は公式サイトの"Working on a Branch"を参考にしていますので、正確な内容が知りたい方はそちらを見てみることをお勧めします。
安定版ソースでビルドしようと思ったら当然安定版のバージョンがわかっていないといけません。Chromebookを持っていればそこで見ればわかるんでしょうが、持っていないので別の方法で調べる必要があります。
Chromium OSなどのプロダクトのリリース通知は上にもちょっと書きましたがGoogleの"Chrome Release"というブログにリリースがあるたびに掲載されています。なのでここにアクセスして"Stable Channel Update for Chrome OS"というタイトルの記事を探してそこに書いてあるバージョンを見ればOKです。今日時点で最新のStable Channel Updateは4/8にあったようで、その時の記事には以下のように書いてあります。
The Stable channel has been updated to 34.0.1847.118 (Platform version: 5500.100.0) for all ChromeOS devices.
このバージョン番号、特にPlatform versionの後の5500.100という数字を覚えておきます。
続いて、ビルドに使うソースをどこから引っ張ってくるかを調べる必要があります。
Chromium OSのソースのブランチ名一覧は以下のURLで確認することができます。
https://chromium.googlesource.com/chromiumos/manifest/+refs
ここで一覧をずっと見ていくとstabilize-で始まるものがあるので、上で調べたPlatform versionのものを探します。今回の例ならstabilize-5500.100.Bというものがあります。これが安定版ソースのブランチの名前になります。
他にrelease-R34-5500.Bというブランチもありますがこれは安定版より若干新しめのソースが入っているようです。こちらを使ってもあまり差はないとは思います。
安定版ソースを使ったビルドの方法は基本的には以前書いた記事と全く同じです。ただ、ソースをチェックアウトする際、repo initに-bオプションで上で調べたリポジトリ名を指定します。具体的な指定方法は以下の通りです。
なお、すでに別のブランチからチェックアウトした環境がある場合は、それとは別にディレクトリを作って、その下でrepo init以降の手順を行う必要があります。 これ以外は以前書いた記事と同じなので割愛します。
とりあえずこの方法でビルドしたものをKVM上で動かしてみたもののスクリーンショットを載せます。
バージョン番号を見るとChrome Releaseの記事では34.0.1847.118 、実際にビルドできたのは34.0.1847.120と微妙に違っていますが、ほぼ同じものになっているようです。
あと、このバージョンをVAIO Type Pで動かしてみました。まだカーネルの再構築はしていないのでUSBからブートしただけですが、以前ビルドしたものと比べてキーボード入力のレスポンスがよくなっており、違和感なく操作できます。
時間ができたら再構築してVAIOのChromium OSを入れ替えるつもりです。
[4/14追記]
今回ビルドしたstabilize-5500.100などのR34系はVAIO Type Pで動かすとPATAの問題のほかにシャットダウンしても電源が切れずにリブートする、スリープ時にスリープせずシャットダウンしてしまうといった問題があるようです。
ちょっと調べてみましたが原因はわかりませんでした。R34はカーネルのバージョンが3.4と古いため、このあたりの対応がまだ不十分なのかもしれません。R35はカーネルバージョンが3.10であり、このあたりの対策ができているようです。残念ですがR35に戻そうと思います。
もうしばらく待てばR35が安定版になるだろうから、そうなれば今よりは安心して使えるようになるのかな。
[関連記事]
[悲報] Chrome R44でffmpegsumoが消えた
Dev serverによるChromium OSのアップデート
Chromium OSにパッケージを追加する
最近のChromium OS R35がVAIO Type Pで動かない件への対策
勝手ビルド版Chromium OSとGoogleドライブの連携
Chromium OSをKVMで動かす
勝手ビルド版Chromium OSをVirtualBoxで動くようにする
Chromium OSのカーネルをVAIO Type P向けに再構築する
Chromium OSのビルド環境を作る
Hexxeh版Chromium OSをVAIO Type Pにインストールしようとして挫折した話
VAIO Type PでChromium OSをUSBメモリからブートするときのメモ
Chromium OSのリリースにはDev Channel(開発中バージョン), Beta Channel(ベータバージョン), Stable Channel(安定版:Chromebookで実際に動いているもの)という3つのチャンネルがあるのですが、あの手順でチェックアウトされるのはDev Channelのものよりもさらに新しい本当に最新のものです。
開発中なので評価が十分に行われたものではなく、リビジョンもガンガン上がっていくようです。前回ビルド環境の記事を書いた時のリビジョンはR35でしたが今日の時点ではR36になっていました。今日時点でのDev ChannelのリビジョンはChrome Releaseの記事によればまだR35のはずです。
で、Google側のリポジトリのリビジョンが上がったあとにこっちでrepo syncしてビルドするとエラーになってビルドできない、という問題が起きました。setup_boardスクリプトを起動して再度ビルドをかけたらエラーはなくなったようですが、自分で入れた修正はいつの間にか消えていました。
スナップショットを使って簡単に復旧できたのでこのあたりのことはまだよく調べていません。単にどこかでオペミスがあっただけかもしれません。
こちらはChromium OSの開発に参加しているわけではなく(そんなスキルないです)、単に自分で使いたいからビルドしているだけなので、あまり頻繁にリビジョンが上がってそのたびにビルドできなくなるようなトラブルが起きるとついていけなくなってしまいます。それに、どうせ使うなら十分に評価されている安定版のソースコードを使ってビルドしたほうがいいかな、と思うわけです。
あと、安定版ソースを使うと、品質面だけでなく後でFlashやPDFなどのプラグインを仕込む際にも成功する確率が高くなるだろうと予想しています。
というのも、いろいろなサイトでプラグインの組み込み方法の記事を見てみると、これらのプラグインをChromium OSに仕込む際はGoogleのサイトからダウンロードできるChromeブラウザからプラグインを抜き出して仕込む、という方法になるようです。安定版ソースは今出回っているChromeブラウザとバージョンが一致しているので、この辺でも失敗しにくいだろうと予想しています。
ということで、今回は今時点のStable Channelと同じバージョンのソースコードを使ってChromium OSをビルドしてみます。
今回の記事は公式サイトの"Working on a Branch"を参考にしていますので、正確な内容が知りたい方はそちらを見てみることをお勧めします。
安定版のバージョン番号の調べ方
安定版ソースでビルドしようと思ったら当然安定版のバージョンがわかっていないといけません。Chromebookを持っていればそこで見ればわかるんでしょうが、持っていないので別の方法で調べる必要があります。
Chromium OSなどのプロダクトのリリース通知は上にもちょっと書きましたがGoogleの"Chrome Release"というブログにリリースがあるたびに掲載されています。なのでここにアクセスして"Stable Channel Update for Chrome OS"というタイトルの記事を探してそこに書いてあるバージョンを見ればOKです。今日時点で最新のStable Channel Updateは4/8にあったようで、その時の記事には以下のように書いてあります。
The Stable channel has been updated to 34.0.1847.118 (Platform version: 5500.100.0) for all ChromeOS devices.
このバージョン番号、特にPlatform versionの後の5500.100という数字を覚えておきます。
チェックアウトするブランチの名前を調べる
続いて、ビルドに使うソースをどこから引っ張ってくるかを調べる必要があります。
Chromium OSのソースのブランチ名一覧は以下のURLで確認することができます。
https://chromium.googlesource.com/chromiumos/manifest/+refs
ここで一覧をずっと見ていくとstabilize-で始まるものがあるので、上で調べたPlatform versionのものを探します。今回の例ならstabilize-5500.100.Bというものがあります。これが安定版ソースのブランチの名前になります。
他にrelease-R34-5500.Bというブランチもありますがこれは安定版より若干新しめのソースが入っているようです。こちらを使ってもあまり差はないとは思います。
安定版ソースのチェックアウトとビルド
安定版ソースを使ったビルドの方法は基本的には以前書いた記事と全く同じです。ただ、ソースをチェックアウトする際、repo initに-bオプションで上で調べたリポジトリ名を指定します。具体的な指定方法は以下の通りです。
$ repo init -u https://chromium.googlesource.com/chromiumos/manifest.git --repo-url https://chromium.googlesource.com/external/repo.git -b stabilize-5500.100.B
なお、すでに別のブランチからチェックアウトした環境がある場合は、それとは別にディレクトリを作って、その下でrepo init以降の手順を行う必要があります。 これ以外は以前書いた記事と同じなので割愛します。
とりあえずこの方法でビルドしたものをKVM上で動かしてみたもののスクリーンショットを載せます。
バージョン番号を見るとChrome Releaseの記事では34.0.1847.118 、実際にビルドできたのは34.0.1847.120と微妙に違っていますが、ほぼ同じものになっているようです。
あと、このバージョンをVAIO Type Pで動かしてみました。まだカーネルの再構築はしていないのでUSBからブートしただけですが、以前ビルドしたものと比べてキーボード入力のレスポンスがよくなっており、違和感なく操作できます。
時間ができたら再構築してVAIOのChromium OSを入れ替えるつもりです。
[4/14追記]
今回ビルドしたstabilize-5500.100などのR34系はVAIO Type Pで動かすとPATAの問題のほかにシャットダウンしても電源が切れずにリブートする、スリープ時にスリープせずシャットダウンしてしまうといった問題があるようです。
ちょっと調べてみましたが原因はわかりませんでした。R34はカーネルのバージョンが3.4と古いため、このあたりの対応がまだ不十分なのかもしれません。R35はカーネルバージョンが3.10であり、このあたりの対策ができているようです。残念ですがR35に戻そうと思います。
もうしばらく待てばR35が安定版になるだろうから、そうなれば今よりは安心して使えるようになるのかな。
[関連記事]
[悲報] Chrome R44でffmpegsumoが消えた
Dev serverによるChromium OSのアップデート
Chromium OSにパッケージを追加する
最近のChromium OS R35がVAIO Type Pで動かない件への対策
勝手ビルド版Chromium OSとGoogleドライブの連携
Chromium OSをKVMで動かす
勝手ビルド版Chromium OSをVirtualBoxで動くようにする
Chromium OSのカーネルをVAIO Type P向けに再構築する
Chromium OSのビルド環境を作る
Hexxeh版Chromium OSをVAIO Type Pにインストールしようとして挫折した話
VAIO Type PでChromium OSをUSBメモリからブートするときのメモ
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