2014/04/12 (Sat) 16:25
# '15.03.24 一部古い記述を修正しました。
以前の記事でChromium OSのビルド方法を書きましたが、この方法だとFilesアプリを起動したときにローカルのダウンロードフォルダは見えるのにGoogleドライブのほうは開いてみても中身が全然見えない、という問題がありました。
これはFilesアプリがGoogleドライブにアクセスする際にGoogleのAPIを使用しており、APIにアクセスするための認証キーが存在しないためにアクセス権エラーになっているのが原因でした。
エラーの内容は、Chromiumブラウザを起動してchrome://drive-internalsにアクセスするとみることができます。
赤字でHTTP_FORBIDDENというエラーがたくさん出ています。これが認証キーがないために起きるエラーです。
Chromium(OSに限らない?)のAPI Keyに関する情報の詳細は以下の公式サイトのページに書いてあります。
API Keys (http://www.chromium.org/developers/how-tos/api-keys)
これによると直し方は2つあって、ビルド時にAPIキーを埋め込んでしまう方法とインストール後にAPIキーをファイルに書き込む方法があります。
今回は後者の方法を使って対策します。あと、対策するのはFilesアプリのGoogleドライブ連携だけです。ほかはまた問題が見えたら対策しようと思います。
上に書いたAPI Keysの解説ページにはGoogle GroupのChromium-devに参加しないと使えないAPIがある、という記述があります。
ただ、Googleドライブと連携するためのAPIはChromium-devに参加しなくても使えますので、面倒ならここは飛ばしても構わないと思います。
とりあえず今回は上の記事に従ってChromium-devに参加してみます。
まずhttps://groups.google.com/a/chromium.org/forum/?fromgroups#!forum/chromium-devにアクセスします。以下のように表示されるので「投稿するには~」の青いボタンをクリックします。
「Chromium-dev」グループに参加という画面が出るので「このグループに参加」をクリックします。メールを受け取るのが嫌なら真ん中の「新しいメッセージごとに~」のコンボボックスを「更新情報をメールで受け取らない」に変更しておきます。
これでChromium-devへ参加できました。続けてAPIの有効化を行います。
Google APIを使えるようにするには、Google Developers Consoleというページにアクセスして、使いたいAPIを有効化し、かつAPIにアクセスするための認証キーを発行してもらう必要があります。今回作業する範囲ならGoogleアカウントさえあれば、費用は掛かりません。
まずhttps://cloud.google.com/consoleにアクセスします。以下のようなページが表示されるので赤い「CREATE PROJECT」ボタンをクリックします。
※IE9ではうまくアクセスできませんでした。FirefoxやChromeを使うのがお勧めです。
New Projectという画面が表示されるので、適当な名前を入力し、2つめのI have read and agree to all Terms of Service for ~をチェックして Createをクリックします。
しばらく待つとプロジェクトが作られるので、左側のメニューからAPI & authをクリックします。APIの一覧が表示されるので「Drive API」を探して右側の「OFF」ボタンをクリックして「ON」に変えます。
ちなみに、上に書いたAPI Keysのページには、有効にしておくといいAPIとして以下のものがあげられています。(逆に肝心のDrive APIのことは書いてありません。それでちょっとはまりました)
赤字で示したものはChromium-devグループに参加していないと使えないAPIです。必要に応じて有効にしておくといいと思います。
ちなみにChrome Remote Desktop APIを有効化しなくてもChromium OS上でリモートデスクトップは使用できました。このAPIがどこで役立ってくるのかはよくわかっていません。
続けてAPI Keyを発行します。
ここまででAPIの有効化ができましたが、このAPIをChromium OSから使えるようにするためにはAPI Keyを入手しておく必要があります。API Keyの入手もGoogle Developer Console上で続けて行います。
API Keyと一口に言っても、実際には以下の3つがあります。
この3つをすべて入手する必要があります。
まず左のメニューのAPI & Authの下にあるCredentialsをクリックし、OAuthの下の赤いCREATE NEW CLIENT IDをクリックします。
Create Client IDという画面が出るので、Application typeをInstalled application、 Installed application typeをOtherにしてCreate Client IDという青いボタンをクリックします。
画面右側に"Client ID for native applicationという枠が表示されます。ここのClient IDとClient secret(赤丸で囲んだもの)をあとで使います。
続けて、下のCreate New Keyという赤いボタン(青丸で囲んだもの)をクリックします。
Create a new keyという画面が出るので、左から2番目のBrowser keyボタンをクリックします。
Create a browser key wnd configure allowed referersという画面が出るのでそのままCreateという青いボタンをクリックします。
Key for browser applicationsという枠が新たに表示されます。ここのAPI Keyをあとで使います。
これで必要な3つのキーがそろいましたので、Chromium OS上でAPI Keyの設定を行います。
上のAPI Keyのページでは、入手したAPI KEYを環境変数に設定するようにと書いてありますが、実際の設定場所が書いていません。単にchronosユーザの~/.bashrcに書いてもうまくいきません。設定先は/etc/chrome_dev.confというChromiumブラウザの設定ファイルに行います。
まず、Chromium OSを起動してCtrl+Alt+F2を押してターミナルを開き、ユーザchronosでログインします。パスワードは使っているChromium OSのビルド時に設定した値ですのでまちまちです。ArnoldThaBat版を使っているなら"password"です。
/etc/chrome_dev.confはルートパーティションにあります。Chromium OSはルートパーティションをリードオンリーでマウントしますので、リードライトでマウントしなおします。
ルートパーティションをリマウントしたらchrome_dev.confを編集して、上で取得したClient ID, Client Secret, API Keyを書き込みます。
とりあえずこれで作業は終わりです。この後リブートするのですが、GUI側でログインしている場合はCtrl+Alt+F1を押してGUIに戻ってGUIセッションからログアウトしてください。ログアウトせずに再起動すると再起動後にエラーが出ることがあります。
それからChromium OSを再起動すればGoogleドライブの内容にアクセスできるはずです。
Googleドライブの内容が見えるようになりました。最初に見たchrome://drive-internalsを見てみても赤字のエラーは消えています。
なお、Chromium OSのメジャーなビルドの1つであるArnoldTheBat版もAPI Keyが埋め込まれていないため、今回記事にした方法でAPI Keyを有効にする必要があるようです。
ちなみにHexxeh版はこの作業を行わなくてもGoogleドライブにアクセスできます。おそらくビルド時にAPIキーを埋め込んであるんだと思いますが、上にURLをのせた公式サイトのAPI Keyのページには
Note that the keys you have now acquired are not for distribution purposes and must not be shared with other users.
とあるんですよね。distribution OKなAPIキーをどこかで入手したんでしょうか。それともChromium-devに参加しなくても使えるAPIなら公開してもいいのかな?
このあたりはまだよくわかっていません。
'15.5.15 追記:同じような質問がこちらにありました。
回答を引用すると
"not for distribution purposes" refers to the keys themselves, not the binaries that you build that use those keys,
だそうです。Keyそのものを公開しなければ、Keyを組み込んだバイナリを配っても別に問題はないみたいですね。
ただ、GoogleのAPIにはAPI Key単位でQuota(単位時間当たりのAPIアクセス回数)が決められていて、Quotaを超えるAPIアクセスは全部エラーで跳ねられます。ビルド時にAPI Keyを埋め込んでしまうと、そのビルドを使っているユーザ全員がそのQuotaに縛られるので、ある時突然Googleドライブにアクセスできなくなる可能性があります。そういう意味では自分で専用にAPI Keyを取っておいたほうが安心かなとも思います。
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以前の記事でChromium OSのビルド方法を書きましたが、この方法だとFilesアプリを起動したときにローカルのダウンロードフォルダは見えるのにGoogleドライブのほうは開いてみても中身が全然見えない、という問題がありました。
これはFilesアプリがGoogleドライブにアクセスする際にGoogleのAPIを使用しており、APIにアクセスするための認証キーが存在しないためにアクセス権エラーになっているのが原因でした。
エラーの内容は、Chromiumブラウザを起動してchrome://drive-internalsにアクセスするとみることができます。
赤字でHTTP_FORBIDDENというエラーがたくさん出ています。これが認証キーがないために起きるエラーです。
Chromium(OSに限らない?)のAPI Keyに関する情報の詳細は以下の公式サイトのページに書いてあります。
API Keys (http://www.chromium.org/developers/how-tos/api-keys)
これによると直し方は2つあって、ビルド時にAPIキーを埋め込んでしまう方法とインストール後にAPIキーをファイルに書き込む方法があります。
今回は後者の方法を使って対策します。あと、対策するのはFilesアプリのGoogleドライブ連携だけです。ほかはまた問題が見えたら対策しようと思います。
Chromium-dev グループへの参加
上に書いたAPI Keysの解説ページにはGoogle GroupのChromium-devに参加しないと使えないAPIがある、という記述があります。
ただ、Googleドライブと連携するためのAPIはChromium-devに参加しなくても使えますので、面倒ならここは飛ばしても構わないと思います。
とりあえず今回は上の記事に従ってChromium-devに参加してみます。
まずhttps://groups.google.com/a/chromium.org/forum/?fromgroups#!forum/chromium-devにアクセスします。以下のように表示されるので「投稿するには~」の青いボタンをクリックします。
「Chromium-dev」グループに参加という画面が出るので「このグループに参加」をクリックします。メールを受け取るのが嫌なら真ん中の「新しいメッセージごとに~」のコンボボックスを「更新情報をメールで受け取らない」に変更しておきます。
これでChromium-devへ参加できました。続けてAPIの有効化を行います。
Google API の有効化
Google APIを使えるようにするには、Google Developers Consoleというページにアクセスして、使いたいAPIを有効化し、かつAPIにアクセスするための認証キーを発行してもらう必要があります。今回作業する範囲ならGoogleアカウントさえあれば、費用は掛かりません。
まずhttps://cloud.google.com/consoleにアクセスします。以下のようなページが表示されるので赤い「CREATE PROJECT」ボタンをクリックします。
※IE9ではうまくアクセスできませんでした。FirefoxやChromeを使うのがお勧めです。
New Projectという画面が表示されるので、適当な名前を入力し、2つめのI have read and agree to all Terms of Service for ~をチェックして Createをクリックします。
しばらく待つとプロジェクトが作られるので、左側のメニューからAPI & authをクリックします。APIの一覧が表示されるので「Drive API」を探して右側の「OFF」ボタンをクリックして「ON」に変えます。
ちなみに、上に書いたAPI Keysのページには、有効にしておくといいAPIとして以下のものがあげられています。(逆に肝心のDrive APIのことは書いてありません。それでちょっとはまりました)
- Google Cloud Messaging for Chrome
- Google Maps Geolocation API
- Time Zone API
- Chrome Remote Desktop API
- Chrome Spelling API
- Chrome Suggest API
- Chrome Sync API
- Chrome Translate Element
- Safe Browsing API
- Speech API
- Google Now For Chrome API
赤字で示したものはChromium-devグループに参加していないと使えないAPIです。必要に応じて有効にしておくといいと思います。
ちなみにChrome Remote Desktop APIを有効化しなくてもChromium OS上でリモートデスクトップは使用できました。このAPIがどこで役立ってくるのかはよくわかっていません。
続けてAPI Keyを発行します。
API Keyの入手
ここまででAPIの有効化ができましたが、このAPIをChromium OSから使えるようにするためにはAPI Keyを入手しておく必要があります。API Keyの入手もGoogle Developer Console上で続けて行います。
API Keyと一口に言っても、実際には以下の3つがあります。
- Client id
- Client Secret
- API Key
この3つをすべて入手する必要があります。
まず左のメニューのAPI & Authの下にあるCredentialsをクリックし、OAuthの下の赤いCREATE NEW CLIENT IDをクリックします。
Create Client IDという画面が出るので、Application typeをInstalled application、 Installed application typeをOtherにしてCreate Client IDという青いボタンをクリックします。
画面右側に"Client ID for native applicationという枠が表示されます。ここのClient IDとClient secret(赤丸で囲んだもの)をあとで使います。
続けて、下のCreate New Keyという赤いボタン(青丸で囲んだもの)をクリックします。
Create a new keyという画面が出るので、左から2番目のBrowser keyボタンをクリックします。
Create a browser key wnd configure allowed referersという画面が出るのでそのままCreateという青いボタンをクリックします。
Key for browser applicationsという枠が新たに表示されます。ここのAPI Keyをあとで使います。
これで必要な3つのキーがそろいましたので、Chromium OS上でAPI Keyの設定を行います。
API Keyの設定
上のAPI Keyのページでは、入手したAPI KEYを環境変数に設定するようにと書いてありますが、実際の設定場所が書いていません。単にchronosユーザの~/.bashrcに書いてもうまくいきません。設定先は/etc/chrome_dev.confというChromiumブラウザの設定ファイルに行います。
まず、Chromium OSを起動してCtrl+Alt+F2を押してターミナルを開き、ユーザchronosでログインします。パスワードは使っているChromium OSのビルド時に設定した値ですのでまちまちです。ArnoldThaBat版を使っているなら"password"です。
/etc/chrome_dev.confはルートパーティションにあります。Chromium OSはルートパーティションをリードオンリーでマウントしますので、リードライトでマウントしなおします。
chronos@localhost / $ sudo mount -o remount,rw / We trust you have received the usual lecture from the local System Administrator. It usually boils down to these three things: #1) Respect the privacy of others. #2) Think before you type. #3) With great power comes great responsibility. Password:
ルートパーティションをリマウントしたらchrome_dev.confを編集して、上で取得したClient ID, Client Secret, API Keyを書き込みます。
chronos@localhost / $ sudo vi /etc/chrome_dev.conf GOOGLE_DEFAULT_CLIENT_ID=(上で取得したClient ID) GOOGLE_DEFAULT_CLIENT_SECRET=(上で取得したClient Secret) GOOGLE_API_KEY=(上で取得したAPI key) (略)
とりあえずこれで作業は終わりです。この後リブートするのですが、GUI側でログインしている場合はCtrl+Alt+F1を押してGUIに戻ってGUIセッションからログアウトしてください。ログアウトせずに再起動すると再起動後にエラーが出ることがあります。
それからChromium OSを再起動すればGoogleドライブの内容にアクセスできるはずです。
Googleドライブの内容が見えるようになりました。最初に見たchrome://drive-internalsを見てみても赤字のエラーは消えています。
なお、Chromium OSのメジャーなビルドの1つであるArnoldTheBat版もAPI Keyが埋め込まれていないため、今回記事にした方法でAPI Keyを有効にする必要があるようです。
ちなみにHexxeh版はこの作業を行わなくてもGoogleドライブにアクセスできます。おそらくビルド時にAPIキーを埋め込んであるんだと思いますが、上にURLをのせた公式サイトのAPI Keyのページには
Note that the keys you have now acquired are not for distribution purposes and must not be shared with other users.
とあるんですよね。distribution OKなAPIキーをどこかで入手したんでしょうか。それともChromium-devに参加しなくても使えるAPIなら公開してもいいのかな?
このあたりはまだよくわかっていません。
'15.5.15 追記:同じような質問がこちらにありました。
回答を引用すると
"not for distribution purposes" refers to the keys themselves, not the binaries that you build that use those keys,
だそうです。Keyそのものを公開しなければ、Keyを組み込んだバイナリを配っても別に問題はないみたいですね。
ただ、GoogleのAPIにはAPI Key単位でQuota(単位時間当たりのAPIアクセス回数)が決められていて、Quotaを超えるAPIアクセスは全部エラーで跳ねられます。ビルド時にAPI Keyを埋め込んでしまうと、そのビルドを使っているユーザ全員がそのQuotaに縛られるので、ある時突然Googleドライブにアクセスできなくなる可能性があります。そういう意味では自分で専用にAPI Keyを取っておいたほうが安心かなとも思います。
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