前々回、前回とsimhのPDP-11エミュレータを使ってUNIX V7をインストールしました。
今回はこのUNIX V7に別のマシンからtelnetでログインできるようにしてみます。
前々回インストールしたSoftware KitのUNIX7と前回のインストールテープから入れたものとでは構成が結構違っています。今回はSoftware Kitから入れたほうを使って作業します。
カーネルソースのダウンロード
外部からtelnetできるようにするためには、通信用のデバイスが必要ですが、今のままでは使えません。使えるようにするためにはカーネルの再構築を行う必要があります。
ただ、カーネルの再構築には当然カーネルソースが必要ですが、Software KitのUNIX V7にはカーネルソースが入っていません(テープイメージから入れたほうには最初からソースが入っています)。そのため、まずソースをダウンロードしてくる必要があります。
ソースファイルを含めたUNIX V7の全ファイルは以下のコマンドでダウンロードします。作成されるディレクトリ階層が深いので上に持ってきます。
linux$ wget -r -np -nH ftp://ftp.ics.es.osaka-u.ac.jp/pub/mirrors/UnixArchive/PDP-11/Trees/V7/ linux$ mv pub/mirror/UnixArchive/PDP-1/Trees/V7/ . linux$ cd V7
UNIX V7のソースはいくつかの場所で公開されていますが、Software KitのUNIX V7は磁気ディスクにRL02を使っているため、/usr/sys/confの下にrltmconfというファイルがあるものを用意する必要があります。このrltmconfがないソースアーカイブが多いので注意が必要です。
ソースへのパッチ
今回はDZ11 Terminal Multiplexerというというデバイスを有効にします。ただ、そのためには一部のソースにパッチを当てます。具体的には、カーネル再構築の設定を行う/usr/sys/conf/mkconfでデバイスdzを扱えるようにします。以下にその内容を示します。
45a46 > "dz", 248a250,259 > "dz", > 0, 300, CHAR+INTR, > " dzin; br5+%d.\n dzou; br5+%d.", > ".globl _dzrint\ndzin: jsr r0,call; jmp _dzrint\n", > ".globl _dzxint\ndzou: jsr r0,call; jmp _dzxint\n", > "", > " dzopen, dzclose, dzread, dzwrite, dzioctl, nulldev, dz_tty,", > "", > "int dzopen(), dzclose(), dzread(), dzwrite(), dzioctl();\nstruct tty dz_tty[];", >
このパッチの元ネタは以下のサイトで公開されているものです。
http://www.ljosa.com/~ljosa/v7-dz11
ただ、このサイトのパッチは前回使ったテープイメージ(Keith_Bostic_v7)のソース用に作られており、今回使うソースとはちょっと行番号がずれているので手直ししています。
このパッチをmkconf.c.diffという名前で保存しておきます。
続いて、ダウンロードしたソースファイルにこのパッチを当てます。
linux$ cp ./usr/sys/conf/mkconf.c ./usr/sys/conf/mkconf.c.org linux$ patch ./usr/sys/conf/mkconf.c < mkconf.c.diff patching file ./usr/sys/conf/mkconf.c linux$
カーネルソースをテープイメージに格納する
パッチを当てたら、カーネルソースが置かれている./usr/sysの内容をtarで固めて、simhのテープイメージに変換します。テープイメージの作成には前回の記事で使ったtapewriteコマンドを使います。
linux$ (cd ./usr/sys; tar --format=v7 -cf - .) | tapewrite > src.tap
作成したテープイメージsrc.tapはUNIX V7の実行環境があるディレクトリにコピーしておきます。
UNIX V7の起動とソースイメージのコピー
テープイメージがができたので、このテープの内容をUNIX V7に持っていきます。
そのため、起動用の設定ファイルを少し書き換えます。新しい設定ファイルの内容は以下の通りです。
linux$ cat boot.ini set cpu 11/45 set cpu 256k set rl0 RL02 att rl0 unix_v7_rl.dsk set rl1 RL02 att rl1 rl1.dsk att tm0 src.tap boot rl0
追加したのは磁気ディスクrl1と磁気テープtm0の定義です。rl1は読み込むソースの展開先として使います。tm0はさっき作ったカーネルソースのテープイメージを読み込むために使います。
では、この 設定でUNIX V7を起動していきます。
linux$ pdp11 boot.ini PDP-11 simulator V3.9-0 Disabling XQ RL: creating new file Overwrite last track? [N] ← ディスクを追加したので聞いてきます。そのままEnter @boot New Boot, known devices are hp ht rk rl rp tm vt : rl(0,0)unix mem = 177856 # (Ctrl-D) Restricted rights: Use, duplication, or disclosure is subject to restrictions stated in your contract with Western Electric Company, Inc. Thu Sep 22 17:55:15 EDT 1988 login: root Password: You have mail. #
では追加したrl1にファイルシステムを作ってマウントし、テープイメージを読み込みます。
# mkdir /mnt # /etc/mkfs /dev/rl1 5000 ←値は適当 size = 1600 m/n = 3 500 # /etc/mount /dev/rl1 /mnt # cd /mnt # mkdir usr # cd usr/ # mkdir sys # cd sys # tar xvf /dev/mt0
これで/mnt/usr/sysの下にカーネルソースができました。
カーネル再構築
続けて、デバイスdzが使えるようにカーネル再構築の設定を行います。まず、カーネル再構築用のツールであるmkconfをさっきパッチを当てたソースで再コンパイルします。
# cd /mnt/usr/sys/conf # mv mkconf mkconf.org # cc mkconf.c -o mkconf
続いてデバイスdzを組み込むための設定ファイルを作ります。もともとある設定ファイルrltmunixにデバイスdzを追加します。
# cat > unixconf dz (Ctrl-d) # cat rltmconf >> unixconf # cat unixconf dz rl tm root rl 0 swap rl 0 swplo 18000 nswap 2480
設定ファイルにdzが入ったので、この設定ファイルを使ってカーネルを再構築します。
# mkconf < unixconf # make
日付をきちんと設定していないので、すでにunixがあるというエラーが出るかもしれません。そのときはunixと.oファイルを消して再度makeします。 これで、/mnt/usr/sys/conf/unixにビルドした新しいカーネルができます。
このカーネルなら外部からの接続を受け付けられますが、まだ少し準備が必要です。
デバイスファイルの作成
まず/dev配下に外部端末用のttyファイルを作ります。その前に、c.cファイルの中にdzのメジャー番号が書かれているのでまずそれを調べます。
# cd /mnt/usr/sys/conf # cat c.c 略 dzopen, dzclose, dzread, dzwrite, dzioctl, nulldev, dz_tty, /* dz = 19 */
この例ではdzのメジャー番号は19です。この行にはdzopen、dzcloseなどの名前が書かれていますが、再構築する前のc.cではこの行がすべてnodevになっています。
メジャー番号がわかったのでデバイスファイルを作ります。とりあえず今回は3つ作っておきます。
# cd /dev # /etc/mknod tty00 c 19 0 # /etc/mknod tty01 c 19 1 # /etc/mknod tty02 c 19 2 #
続いて/etc/ttysファイルを編集して、今作ったデバイスを有効にします。/etc/ttysのtty0?の行はいずれも00で始まっていますが、これを12で始まるように書き換えます。
# cat /etc/ttys 14console 00tty00 00tty01 00tty02 00tty03 00tty04 00tty05 00tty06 略 # ed /etc/ttys 266 2,4s/00/12/ w 266 q # cat /etc/ttys 14console 12tty00 12tty01 12tty02 00tty03 00tty04 00tty05 00tty06 略
最初は"10tty??"にしていましたが、これだと外部からつないだときのレスポンスがかなり悪くなります。いろいろ対策を探していたのですが、2ケタ目が0だと端末との通信速度が300~1200ボーとして扱われるということがわかりました。ここを2にすることで9600ボーの端末として扱われ、レスポンスが劇的に改善しました。
では、カーネルを置き換えていったん終わらせます。
# cd / # mv unix unix.org # cp /mnt/usr/sys/conf/unix . # sync;sync;sync # Simulation stopped, PC: 002306 (MOV (SP)+,177776) sim> q Goodbye linux$
起動時にdzを有効にするために、simhの設定ファイルを書き換えます。
linux$ cat boot.ini set cpu 11/45 set cpu 256k set rl0 RL02 att rl0 unix_v7_rl.dsk set rl1 RL02 att rl1 rl1.dsk set dz 7b lines=32 ← 追加 att dz -am 4096 ← 追加:ポート4096で待ち受ける boot rl0
待ち受け用ポート番号は環境に応じて適当に指定します。待ち受けポートはiptablesの設定で外部からの接続を受け付けるようにしておく必要があります。では、この設定を使ってbootします。
linux$ pdp11 boot.ini PDP-11 simulator V3.9-0 Disabling XQ Listening on port 4096 (socket 6) ← この行が出ることを確認する Modem control activated Auto disconnect activated @boot New Boot, known devices are hp ht rk rl rp tm vt : rl(0,0)unix mem = 175808 # Restricted rights: Use, duplication, or disclosure is subject to restrictions stated in your contract with Western Electric Company, Inc. Thu Sep 22 19:54:23 EDT 1988 login: root Password: You have mail. #
無事にブートしたので、別のマシンから接続してみます。今回はWindowsマシンのTeraTermからtelnetでlinuxマシンのポート4096につないでみます。
無事につながりました。
今回はここまで。
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せっかくならWindowsのインストールCDから入れるのと同じようにインストールメディアから入れてみよう、ということで、今回はインストールテープイメージからのUNIX V7インストールに挑戦します。
PDF形式のUNIX V7のマニュアルが、開発元であるベル研究所のページからダウンロードできます。
http://plan9.bell-labs.com/7thEdMan/bswv7.html
マニュアルは3つに分かれていますが、セットアップの手順はこのうちのv7vol2b.pdfに書かれています。「Setting Up Unix」という章です。とりあえずここに書かれている手順で作業していきます。
テープイメージのダウンロード
UNIX V7のテープイメージはThe Unix Heritage SocietyのUnix Archiveからダウンロードできます。日本のミラーサイトのURLは以下の通りです。
ftp://ftp.ics.es.osaka-u.ac.jp/pub/mirrors/UnixArchive/PDP-11/Distributions/research/Keith_Bostic_v7/
ここにあるf0.gz~f6.gzの7つのファイルとfilelist、すべてをどこか適当な場所にダウンロードします。
テープイメージをsimhの形式に変換する。
ダウンロードしたテープイメージのファイルですが、そのままでは使えません。simhで読み込める形に変換する必要があります。
ただ、この変換に必要なツールはsimhには含まれておらず、いろいろな方がばらばらに作っているみたいです。
今回は こちらのブログで公開されていたものをお借りしたいと思います。こちらのツールは、テープイメージに含めるファイルのブロックサイズを個別に指定でき、しかもgzファイルをそのまま読み込めるのでとても便利です。
公開されている2つのソース、tapewrite.cとmaketapeを自分のマシンにおいて、tapewrite.cはコンパイルします。maketapeには実行権を付けます。
linux$ cc -o tapewrite tapewrite.c linux$ chmod a+x maketape
つづけて、maketape用の設定ファイルを作ります。設定ファイル の内容は以下の通りです。
linux$ vi tape-unixv7.conf f0.gz 512 f1.gz 512 f2.gz 512 f3.gz 512 f4.gz 512 f5.gz 10240 f6.gz 10240 linux$
各行の左はテープイメージに書き込むファイル名、右側はブロックサイズです。このブロックサイズの情報は一緒にダウンロードしたfilelistに書かれています。
ファイルができたら以下のようにしてテープイメージファイルを作ります。
linux$ ./maketape tape-unixv7.conf unixv7.tap f0.gz bsize=512 f1.gz bsize=512 f2.gz bsize=512 f3.gz bsize=512 f4.gz bsize=512 f5.gz bsize=10240 f6.gz bsize=10240 linux$
これでunixv7.tapという名前のファイルができていればOKです。このテープイメージを使ってインストールを行います。
インストール
準備が整ったので、pdp11エミュレータを起動します。Setting Up Unixを見ると最初の起動時にマシン語のプログラムを打ち込む必要があるようなので、設定と一緒にあらかじめファイルに書いておきます。
linux$ vi install.ini set cpu 11/45 set rp0 RP04 ← 磁気ディスクの種類の設定 att rp0 rp04-0.dsk ← 仮想磁気ディスクファイルの名前 att tm0 unixv7.tap ← インストールテープの割り当て d cpu 100000 012700 d cpu 100002 172526 d cpu 100004 010040 d cpu 100006 012740 d cpu 100010 060003 d cpu 100012 000777 e cpu 100000-100013
前回Software Kitでインストールしたときは磁気ディスクの種類としてRL02を指定しましたが、今回インストールするテープにはRL02用のカーネルやブートストラップが含まれていませんので、このテープで利用可能なRP04を指定します。
ディスクの内容はこれからのインストールで作成していきますので、仮想磁気ディスクファイルには存在しない適当な名前を指定すればOKです。
準備が整ったら起動します。
linux$ pdp11 install.ini PDP-11 simulator V3.9-0 Disabling XQ RP: creating new file Overwrite last track? [N] ← そのままEnter 100000: 012700 100002: 172526 100004: 010040 100006: 012740 100010: 060003 100012: 000777 sim>
simhのプロンプトが出たら、プログラムを100000番地から実行します。必要な処理をしてCPUループになるので、数秒待ってCtrl-Eで止め、今度は0番地から実行します。
sim> run 100000 (数秒待ってからCtrl-E) Simulation stopped, PC: 100012 (BR 100012) sim> run 0 Boot :: が出力されたらテープからブートします。この工程で磁気ディスクに空のファイルシステムを作ります。2つほど聞かれるので、マニュアルの通りに入力していきます。
: tm(0,3) file sys size: 5000 file system: hp(0,0) ← ここはrpではなくhp isize = 1600 m/n = 3 500 Exit called Boot :磁気ディスクのRP04はsimhのプロンプトではrpですが、ここでの指定はhpとなるようです。
また:が出るので、再びテープから起動します。今度は今作った空のファイルシステム上にUNIXのルートファイルシステムをリストアします。
: tm(0,4) Tape? tm(0,5) ← ルートファイルイメージが格納されているテープ上のファイル(f5.gz) Disk? hp(0,0) ←リストア先の磁気ディスク Last chance before scribbling on disk. ← ここは単にEnterを入力 End of tape Boot :
マニュアルには数分かかるとありますが、数秒で終わってしまいます。この辺は最新のハードディスクと大昔のテープの差でしょうか。
これで磁気ディスク上にルートファイルシステムができました。このルートファイルシステム上のカーネルを使って起動を行います。
: hp(0,0)hptmunix mem = 177344 #
無事、シングルユーザモードで起動しました。引き続き、マニュアルの記述に従って、カーネルのリネームおよびスペシャルファイルの作成を行います。前回つかったSoftware Kitのものと異なり、こちらのUNIX V7はシングルユーザモードでの入力が全部大文字になります。
# PWD / # MV HPTMUNIX UNIX # CD /DEV # MAKE RP04 /ETC/MKNOD RP0 B 6 0 /ETC/MKNOD SWAP B 6 1 /ETC/MKNOD RP3 B 6 6 /ETC/MKNOD RRP0 C 14 0 /ETC/MKNOD RRP3 C 14 6 CHMOD GO-W RP0 SWAP RP3 RRP0 RRP3 # MAKE TM /ETC/MKNOD MT0 B 3 0 /ETC/MKNOD RMT0 C 12 0 /ETC/MKNOD NRMT0 C 12 128 CHMOD GO+W MT0 RMT0 NRMT0 #
Software Kitの時と異なり、ここで/dev/swapも自動で作られます。続けて、/usr用のファイルシステムを作り、データをリストアします。
# /ETC/MKFS /DEV/RP3 153406 ISIZE = 49088 M/N = 3 500 # DD IF=/DEV/NRMT0 OF=/DEV/NULL BS=20B FILES=6 202+80 RECORDS IN 202+75 RECORDS OUT # RESTOR RF /DEV/RMT0 /DEV/RP3 LAST CHANCE BEFORE SCRIBBLING ON /DEV/RP3. ← Enterを入力 END OF TAPE #
作成したファイルシステムを/usrにマウントして中身を確認します。
# /ETC/MOUNT /DEV/RP3 /USR # LS /USR DICT DMR DOC GAMES INCLUDE LIB MAN MDEC PUB SPOOL SRC SYS TMP #
最後の仕上げとして、ブートストラップブロックを磁気ディスクの先頭に書き込みます。
# DD IF=/USR/MDEC/HPUBOOT OF=/DEV/RP0 COUNT=1 0+1 RECORDS IN 0+1 RECORDS OUT #
これで一通り作業は終わりました。Ctrl-dを押してシングルユーザモードを抜けます。
# (Ctrl-d) RESTRICTED RIGHTS: USE, DUPLICATION, OR DISCLOSURE IS SUBJECT TO RESTRICTIONS STATED IN YOUR CONTRACT WITH WESTERN ELECTRIC COMPANY, INC. WED DEC 31 19:26:01 EST 1969 login: root Password: ← ここもroot You have mail. #
マルチユーザモードでログインできたことを確認したらいったん終わらせます。
# sync # sync # sync # (Ctrl-E) Simulation stopped, PC: 002306 (MOV (SP)+,177776) sim> q Goodbye linux$これで一通りインストール作業は終わりました。
では、ちゃんとインストールできたかどうか確認します。今インストールした磁気ディスクから起動してみます。起動用の設定ファイルは以下のようになります。
linux$ cat UV7.ini set cpu 11/45 set cpu 256k set rp0 RP04 att rp0 rp04-0.dsk boot rp0 linux$ pdp11 UV7.ini ← 起動 PDP-11 simulator V3.9-0 Disabling XQ boot ← プロンプトは何も出ませんが、ここでbootと入力 Boot : hp(0,0)unix mem = 177344 # (Ctrl-d) RESTRICTED RIGHTS: USE, DUPLICATION, OR DISCLOSURE IS SUBJECT TO RESTRICTIONS STATED IN YOUR CONTRACT WITH WESTERN ELECTRIC COMPANY, INC. WED DEC 31 19:26:34 EST 1969 login: root Password: You have mail. #
Software Kitでインストールしたときは、最初の"boot"と打ち込むところでプロンプトとして"@"が出るのですが、こちらでは何も出ません。ちょっとびっくりしますが気にせずbootと打ち込めば、あとはSoftware Kitの時と同じように起動できました。
今回はここまで。
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UNIX V7は現在ではフリーソフトになっているようで、だれでも自由に入手できます。
今回はSimhのサイトで公開されているSoftware Kitを使ってみます。これはインストール済みの仮想ディスクイメージなので、ダウンロードすればすぐ使えます。
ダウンロードURLは
http://simh.trailing-edge.com/kits/uv7swre.zip
です。ダウンロードしたら適当な場所に展開します。
linux$ unzip uv7swre.zip linux$ ls AncientUnix.pdf README.txt unix_v7_rl.dsk
このunix_v7_rl.dskがインストール済みの仮想磁気ディスクイメージですので、これを使って起動します。simhのpdp11エミュレータを起動して以下のように入力していきます。
linux$ pdp11 PDP-11 simulator V3.9-0 sim> set cpu 11/45 ← CPUの種類の指定 Disabling XQ sim> set cpu 256k ← CPUメモリサイズの指定 sim> set rl0 RL02 ← 装置名rl0の種類をRL02にする(RLはカートリッジ磁気ディスク) sim> att rl0 unix_v7_rl.dsk ← 装置名rl0に仮想ディスクファイルunix_v7_rl.dskを割り当てる sim> boot rl0 ← 装置名rl0からブートする @
ここで打ち込むset, attなどのコマンドおよびrl0などのパラメータの説明は、
http://simh.trailing-edge.com/pdf/pdp11_doc.pdf
に書いてあります。
@が表示されたら、bootと入力します。
@boot New Boot, known devices are hp ht rk rl rp tm vt :
: が表示されたら、ブートするカーネルの指定を行います。以下のように指定します。
: rl(0,0)rl2unix mem = 177856 #
#のプロンプトはシングルユーザモードでUNIXが起動したことを表します。 ここで、磁気ディスクと磁気テープのデバイスファイルを作っておきます。
# cd /dev # make rl /etc/mknod rl0 b 8 0 /etc/mknod rl1 b 8 1 /etc/mknod rrl0 c 18 0 /etc/mknod rrl1 c 18 1 chmod go-rw rl0 rl1 rrl0 rrl1 # make tm /etc/mknod mt0 b 3 0 /etc/mknod rmt0 c 12 0 /etc/mknod nrmt0 c 12 128 chmod go+w mt0 rmt0 nrmt0
/tmpがないので作っておきます。ないとmanコマンドがエラーになるようです。
# mkdir /tmp
さらにswapデバイスを作成し、カーネルを"unix"という名前でコピーします。これはpsコマンドを動かすのに必要なんだそうです。この作業は最初は抜けていました。ほかにも抜けていることがあるかもしれません。
# /etc/mknod swap b 8 0 # cp /rl2unix /unix # (Ctrl-dを入力)
Ctrl-dを押すとシングルユーザモードが終わってマルチユーザモードに移行します。 ここでおなじみのloginプロンプトが出ますので、ユーザ名、パスワードともにrootでログインします。
Restricted rights: Use, duplication, or disclosure is subject to restrictions stated in your contract with Western Electric Company, Inc. Thu Sep 22 05:49:30 EDT 1988 login: root Password: You have mail. #
これでめでたくUNIX V7が起動できました。
終了ですが、UNIX V7にはshutdownコマンドがありませんので以下のようにします。
# sync # sync # sync # (Ctrl-E)← エミュレータを停止する Simulation stopped, PC: 002306 (MOV (SP)+,177776) sim> q ← エミュレータを終了する Goodbye linux$
今回は起動時のエミュレータの設定を手動で打ち込みましたが、あらかじめ以下のようなファイルを作っておくと、次回以降、設定内容をpdp11エミュレータに自動で読み込ませることができます。
linux$ vi boot.ini set cpu 11/45 set cpu 256k set rl0 RL02 att rl0 unix_v7_rl.dsk boot rl0 linux$ pdp11 boot.ini PDP-11 simulator V3.9-0 Disabling XQ @ ← ここでbootと打ち込むところから New Boot, known devices are hp ht rk rl rp tm vt : rl(0,0)unix
カーネルをunixという名前でコピーしたので、2回目以降は上のようにrl(0,0)unixで起動できるようになります。 2回目以降はシングルユーザモードでは特にやることはありませんので、#が表示されたらすぐにCtrl-dを押してマルチユーザモードに移行すればOKです。
今回はここまで。
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