2014/02/22 (Sat) 00:59
前回はsimhのページからダウンロードできるSoftware Kitを使ってPDP-11エミュレータにUNIX V7をインストールしましたが、実際にはインストールしたというよりは、インストール済みディスクを持ってきてつないだ、というのが正解かな、という感じです。
せっかくならWindowsのインストールCDから入れるのと同じようにインストールメディアから入れてみよう、ということで、今回はインストールテープイメージからのUNIX V7インストールに挑戦します。
PDF形式のUNIX V7のマニュアルが、開発元であるベル研究所のページからダウンロードできます。
http://plan9.bell-labs.com/7thEdMan/bswv7.html
マニュアルは3つに分かれていますが、セットアップの手順はこのうちのv7vol2b.pdfに書かれています。「Setting Up Unix」という章です。とりあえずここに書かれている手順で作業していきます。
UNIX V7のテープイメージはThe Unix Heritage SocietyのUnix Archiveからダウンロードできます。日本のミラーサイトのURLは以下の通りです。
ftp://ftp.ics.es.osaka-u.ac.jp/pub/mirrors/UnixArchive/PDP-11/Distributions/research/Keith_Bostic_v7/
ここにあるf0.gz~f6.gzの7つのファイルとfilelist、すべてをどこか適当な場所にダウンロードします。
ダウンロードしたテープイメージのファイルですが、そのままでは使えません。simhで読み込める形に変換する必要があります。
ただ、この変換に必要なツールはsimhには含まれておらず、いろいろな方がばらばらに作っているみたいです。
今回は こちらのブログで公開されていたものをお借りしたいと思います。こちらのツールは、テープイメージに含めるファイルのブロックサイズを個別に指定でき、しかもgzファイルをそのまま読み込めるのでとても便利です。
公開されている2つのソース、tapewrite.cとmaketapeを自分のマシンにおいて、tapewrite.cはコンパイルします。maketapeには実行権を付けます。
つづけて、maketape用の設定ファイルを作ります。設定ファイル の内容は以下の通りです。
各行の左はテープイメージに書き込むファイル名、右側はブロックサイズです。このブロックサイズの情報は一緒にダウンロードしたfilelistに書かれています。
ファイルができたら以下のようにしてテープイメージファイルを作ります。
これでunixv7.tapという名前のファイルができていればOKです。このテープイメージを使ってインストールを行います。
準備が整ったので、pdp11エミュレータを起動します。Setting Up Unixを見ると最初の起動時にマシン語のプログラムを打ち込む必要があるようなので、設定と一緒にあらかじめファイルに書いておきます。
前回Software Kitでインストールしたときは磁気ディスクの種類としてRL02を指定しましたが、今回インストールするテープにはRL02用のカーネルやブートストラップが含まれていませんので、このテープで利用可能なRP04を指定します。
ディスクの内容はこれからのインストールで作成していきますので、仮想磁気ディスクファイルには存在しない適当な名前を指定すればOKです。
準備が整ったら起動します。
simhのプロンプトが出たら、プログラムを100000番地から実行します。必要な処理をしてCPUループになるので、数秒待ってCtrl-Eで止め、今度は0番地から実行します。
また:が出るので、再びテープから起動します。今度は今作った空のファイルシステム上にUNIXのルートファイルシステムをリストアします。
マニュアルには数分かかるとありますが、数秒で終わってしまいます。この辺は最新のハードディスクと大昔のテープの差でしょうか。
これで磁気ディスク上にルートファイルシステムができました。このルートファイルシステム上のカーネルを使って起動を行います。
無事、シングルユーザモードで起動しました。引き続き、マニュアルの記述に従って、カーネルのリネームおよびスペシャルファイルの作成を行います。前回つかったSoftware Kitのものと異なり、こちらのUNIX V7はシングルユーザモードでの入力が全部大文字になります。
Software Kitの時と異なり、ここで/dev/swapも自動で作られます。続けて、/usr用のファイルシステムを作り、データをリストアします。
作成したファイルシステムを/usrにマウントして中身を確認します。
最後の仕上げとして、ブートストラップブロックを磁気ディスクの先頭に書き込みます。
これで一通り作業は終わりました。Ctrl-dを押してシングルユーザモードを抜けます。
マルチユーザモードでログインできたことを確認したらいったん終わらせます。
では、ちゃんとインストールできたかどうか確認します。今インストールした磁気ディスクから起動してみます。起動用の設定ファイルは以下のようになります。
Software Kitでインストールしたときは、最初の"boot"と打ち込むところでプロンプトとして"@"が出るのですが、こちらでは何も出ません。ちょっとびっくりしますが気にせずbootと打ち込めば、あとはSoftware Kitの時と同じように起動できました。
今回はここまで。
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せっかくならWindowsのインストールCDから入れるのと同じようにインストールメディアから入れてみよう、ということで、今回はインストールテープイメージからのUNIX V7インストールに挑戦します。
PDF形式のUNIX V7のマニュアルが、開発元であるベル研究所のページからダウンロードできます。
http://plan9.bell-labs.com/7thEdMan/bswv7.html
マニュアルは3つに分かれていますが、セットアップの手順はこのうちのv7vol2b.pdfに書かれています。「Setting Up Unix」という章です。とりあえずここに書かれている手順で作業していきます。
テープイメージのダウンロード
UNIX V7のテープイメージはThe Unix Heritage SocietyのUnix Archiveからダウンロードできます。日本のミラーサイトのURLは以下の通りです。
ftp://ftp.ics.es.osaka-u.ac.jp/pub/mirrors/UnixArchive/PDP-11/Distributions/research/Keith_Bostic_v7/
ここにあるf0.gz~f6.gzの7つのファイルとfilelist、すべてをどこか適当な場所にダウンロードします。
テープイメージをsimhの形式に変換する。
ダウンロードしたテープイメージのファイルですが、そのままでは使えません。simhで読み込める形に変換する必要があります。
ただ、この変換に必要なツールはsimhには含まれておらず、いろいろな方がばらばらに作っているみたいです。
今回は こちらのブログで公開されていたものをお借りしたいと思います。こちらのツールは、テープイメージに含めるファイルのブロックサイズを個別に指定でき、しかもgzファイルをそのまま読み込めるのでとても便利です。
公開されている2つのソース、tapewrite.cとmaketapeを自分のマシンにおいて、tapewrite.cはコンパイルします。maketapeには実行権を付けます。
linux$ cc -o tapewrite tapewrite.c linux$ chmod a+x maketape
つづけて、maketape用の設定ファイルを作ります。設定ファイル の内容は以下の通りです。
linux$ vi tape-unixv7.conf f0.gz 512 f1.gz 512 f2.gz 512 f3.gz 512 f4.gz 512 f5.gz 10240 f6.gz 10240 linux$
各行の左はテープイメージに書き込むファイル名、右側はブロックサイズです。このブロックサイズの情報は一緒にダウンロードしたfilelistに書かれています。
ファイルができたら以下のようにしてテープイメージファイルを作ります。
linux$ ./maketape tape-unixv7.conf unixv7.tap f0.gz bsize=512 f1.gz bsize=512 f2.gz bsize=512 f3.gz bsize=512 f4.gz bsize=512 f5.gz bsize=10240 f6.gz bsize=10240 linux$
これでunixv7.tapという名前のファイルができていればOKです。このテープイメージを使ってインストールを行います。
インストール
準備が整ったので、pdp11エミュレータを起動します。Setting Up Unixを見ると最初の起動時にマシン語のプログラムを打ち込む必要があるようなので、設定と一緒にあらかじめファイルに書いておきます。
linux$ vi install.ini set cpu 11/45 set rp0 RP04 ← 磁気ディスクの種類の設定 att rp0 rp04-0.dsk ← 仮想磁気ディスクファイルの名前 att tm0 unixv7.tap ← インストールテープの割り当て d cpu 100000 012700 d cpu 100002 172526 d cpu 100004 010040 d cpu 100006 012740 d cpu 100010 060003 d cpu 100012 000777 e cpu 100000-100013
前回Software Kitでインストールしたときは磁気ディスクの種類としてRL02を指定しましたが、今回インストールするテープにはRL02用のカーネルやブートストラップが含まれていませんので、このテープで利用可能なRP04を指定します。
ディスクの内容はこれからのインストールで作成していきますので、仮想磁気ディスクファイルには存在しない適当な名前を指定すればOKです。
準備が整ったら起動します。
linux$ pdp11 install.ini PDP-11 simulator V3.9-0 Disabling XQ RP: creating new file Overwrite last track? [N] ← そのままEnter 100000: 012700 100002: 172526 100004: 010040 100006: 012740 100010: 060003 100012: 000777 sim>
simhのプロンプトが出たら、プログラムを100000番地から実行します。必要な処理をしてCPUループになるので、数秒待ってCtrl-Eで止め、今度は0番地から実行します。
sim> run 100000 (数秒待ってからCtrl-E) Simulation stopped, PC: 100012 (BR 100012) sim> run 0 Boot :: が出力されたらテープからブートします。この工程で磁気ディスクに空のファイルシステムを作ります。2つほど聞かれるので、マニュアルの通りに入力していきます。
: tm(0,3) file sys size: 5000 file system: hp(0,0) ← ここはrpではなくhp isize = 1600 m/n = 3 500 Exit called Boot :磁気ディスクのRP04はsimhのプロンプトではrpですが、ここでの指定はhpとなるようです。
また:が出るので、再びテープから起動します。今度は今作った空のファイルシステム上にUNIXのルートファイルシステムをリストアします。
: tm(0,4) Tape? tm(0,5) ← ルートファイルイメージが格納されているテープ上のファイル(f5.gz) Disk? hp(0,0) ←リストア先の磁気ディスク Last chance before scribbling on disk. ← ここは単にEnterを入力 End of tape Boot :
マニュアルには数分かかるとありますが、数秒で終わってしまいます。この辺は最新のハードディスクと大昔のテープの差でしょうか。
これで磁気ディスク上にルートファイルシステムができました。このルートファイルシステム上のカーネルを使って起動を行います。
: hp(0,0)hptmunix mem = 177344 #
無事、シングルユーザモードで起動しました。引き続き、マニュアルの記述に従って、カーネルのリネームおよびスペシャルファイルの作成を行います。前回つかったSoftware Kitのものと異なり、こちらのUNIX V7はシングルユーザモードでの入力が全部大文字になります。
# PWD / # MV HPTMUNIX UNIX # CD /DEV # MAKE RP04 /ETC/MKNOD RP0 B 6 0 /ETC/MKNOD SWAP B 6 1 /ETC/MKNOD RP3 B 6 6 /ETC/MKNOD RRP0 C 14 0 /ETC/MKNOD RRP3 C 14 6 CHMOD GO-W RP0 SWAP RP3 RRP0 RRP3 # MAKE TM /ETC/MKNOD MT0 B 3 0 /ETC/MKNOD RMT0 C 12 0 /ETC/MKNOD NRMT0 C 12 128 CHMOD GO+W MT0 RMT0 NRMT0 #
Software Kitの時と異なり、ここで/dev/swapも自動で作られます。続けて、/usr用のファイルシステムを作り、データをリストアします。
# /ETC/MKFS /DEV/RP3 153406 ISIZE = 49088 M/N = 3 500 # DD IF=/DEV/NRMT0 OF=/DEV/NULL BS=20B FILES=6 202+80 RECORDS IN 202+75 RECORDS OUT # RESTOR RF /DEV/RMT0 /DEV/RP3 LAST CHANCE BEFORE SCRIBBLING ON /DEV/RP3. ← Enterを入力 END OF TAPE #
作成したファイルシステムを/usrにマウントして中身を確認します。
# /ETC/MOUNT /DEV/RP3 /USR # LS /USR DICT DMR DOC GAMES INCLUDE LIB MAN MDEC PUB SPOOL SRC SYS TMP #
最後の仕上げとして、ブートストラップブロックを磁気ディスクの先頭に書き込みます。
# DD IF=/USR/MDEC/HPUBOOT OF=/DEV/RP0 COUNT=1 0+1 RECORDS IN 0+1 RECORDS OUT #
これで一通り作業は終わりました。Ctrl-dを押してシングルユーザモードを抜けます。
# (Ctrl-d) RESTRICTED RIGHTS: USE, DUPLICATION, OR DISCLOSURE IS SUBJECT TO RESTRICTIONS STATED IN YOUR CONTRACT WITH WESTERN ELECTRIC COMPANY, INC. WED DEC 31 19:26:01 EST 1969 login: root Password: ← ここもroot You have mail. #
マルチユーザモードでログインできたことを確認したらいったん終わらせます。
# sync # sync # sync # (Ctrl-E) Simulation stopped, PC: 002306 (MOV (SP)+,177776) sim> q Goodbye linux$これで一通りインストール作業は終わりました。
では、ちゃんとインストールできたかどうか確認します。今インストールした磁気ディスクから起動してみます。起動用の設定ファイルは以下のようになります。
linux$ cat UV7.ini set cpu 11/45 set cpu 256k set rp0 RP04 att rp0 rp04-0.dsk boot rp0 linux$ pdp11 UV7.ini ← 起動 PDP-11 simulator V3.9-0 Disabling XQ boot ← プロンプトは何も出ませんが、ここでbootと入力 Boot : hp(0,0)unix mem = 177344 # (Ctrl-d) RESTRICTED RIGHTS: USE, DUPLICATION, OR DISCLOSURE IS SUBJECT TO RESTRICTIONS STATED IN YOUR CONTRACT WITH WESTERN ELECTRIC COMPANY, INC. WED DEC 31 19:26:34 EST 1969 login: root Password: You have mail. #
Software Kitでインストールしたときは、最初の"boot"と打ち込むところでプロンプトとして"@"が出るのですが、こちらでは何も出ません。ちょっとびっくりしますが気にせずbootと打ち込めば、あとはSoftware Kitの時と同じように起動できました。
今回はここまで。
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